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みみずく

ガラスや好きなものの話

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永遠の0 読んだよ!

「最近読んだ本は~」と聞かれたときの対策に読みましたー。
もともと本は好きで、1時期は500冊くらい所持していたのですが生活費の足しにするために売っちゃいました。
なので今私の本棚にあるのはクラフト関係と教科書、勾玉三部作に乙嫁くらいですね。
屋根裏にはスラムダンクや氷室冴子作品があったかな。

作者は放送作家の百田尚樹さん。
本屋大賞に選ばれた「海賊と呼ばれた男」が読みたかったのですが、一冊1600円もする上下巻だったので、文庫版になっている永遠の0を購入しました。
今の学校の中で5本指に入るくらい好きな先生がおすすめしてくださったのです。



表紙を見てなんだか見覚えがある……たしかに本やさんで平積みされていた記憶があります。


内容は太平洋戦争の零戦です。
零戦は名前となんだか格好いい戦闘機だったけれど紙装備、くらいしか知らなかったのでその点では勉強になりました。
陸軍のことは調べたことがあったのでちょろっとは知っていたのですが。
私自身は戦争に対してアレルギー的な反応はしません。
歴史は歴史、今は今。政治は政治。
なので戦争ときくと反射的に「ダメ、絶対!」みたいな方は読まない方がいいと思います。


この本はいろんな人が読んでいてアマゾンのレビューも何百件もあります。
それくらい人気のある作品、作家さんです。

ではではいつものとおり好き放題レビューを。

場面は現代。
26歳の健太郎が今まで祖父だと思っていた人物が実は血のつながってなく、別の実の祖父の存在を知るところからスタートです。
零戦闘機乗りだった本当の祖父を知る人物たちを訪ね、すでに故人である祖父・宮部の姿を知ろうとしていきます。
構成は健太郎と姉の行動→宮部を知る老人たちの語り、が交互になっています。

ある人は宮部を臆病者だと罵り、ある人は尊敬を、友愛を、とさまざまな思い出を語ります。
ぼこぼこ人が死んでいく話や日本という国の甘さ、悲惨さなどを知るうちに「うへぁ」と思うのですが、まあ面白い。600ページくらいあるんですが4時間ほどで読めました。
話の作り方がうまいんでしょうね、長ったらしい文章で目が滑ることもなかったです。
挿絵は一枚もないところがまた想像力をかきたてます。


祖父の宮部は背が高くやせ形で、見た目も悪いルックスではなく優しげな青年であると描写されます。
もとは裕福層の出身で、零落したため軍に入隊。誰に対しても敬語で話すため舐められることもしばしば。
凄腕の戦闘機乗りで終戦直前まで生き残っていましたが、最期は特攻して亡くなります。
誰もが国のために死ぬと叫ぶ中、「絶対に生きて帰る」とはばからずに言い続けた男がなぜ最期を特攻で迎えたのか……というのが主軸にあたります。

今年映画化されるみたいですが、二時間ちょっとじゃあ足りない気がします。
どのエピソード削るのかなぁ。
お盆あたりに2時間もののドラマで2夜連続放送とかの方がいいような。


正直に言うと、私はこの本をもう一回読む気はしばらくないです。
悲しすぎて……というわけじゃなく、(泣くよ、と先生の言やレビューとかで見ましたがすみません、泣けませんでした)ちょっといい話すぎというか、読後、もやもやします。


まず主人公にあたる健太郎。
彼は弁護士を目指すフリーター26歳。わぁ同い年。
でも言動は26歳というには幼さが目立ちます。
彼はいわゆる最近の若者で、自分が弁護士にうまくなれないのを不味いと思いつつも燃焼不良気味のプーです。姉が結婚しようとしている男が気に入らなくても面倒だから黙っています。
……頑張ればゆめが手に入る環境にいるんだから頑張れよ!
衣食住に困っているわけでも身内が重病とかじゃあないんだからさー、何をそんなに「俺ってついてない」面してんだか。
百田さんの考える若者ってこんなかんじなのかなー他の本の主人公はおじさまばかりだもんな。


彼の何が気に入らないかというと、
ある老人に祖父が臆病者だと称されると、
「僕が臆病なのは宮部の血を引いているからかも……」とぐちるシーンです。

私は血筋や血液型、星座などで判断されるのもするのも嫌いです。
O型だからおおざっぱ、だなんてナンセンス!
簡単に4分類されてたまるか。

私的に、人は環境によって人格を形成すると考えています。
もし父親似の性格だとしたらそれは父方の血が濃いとかじゃなく、より父親の影響を受けやすい環境下で成長したのだと思いますし、同じ親、同じ血液型でも長男、次男末っ子じゃあ性格がまるっと違うと思います。
たとえばアフリカのある地域においてO型は臆病な性格が多いと言われています。
でもそれはその地域にO型がかかりやすいウィルスが存在するため、O型の人は慎重に野山に入るようになった、という説があります。O型だから臆病、ではなく、O型が病気になりやすい環境にあるため臆病、が正しい。

なので健太郎のこの言葉はイラッとしました。
現に次のシーンで彼は育ての祖父に「そんなこと言うんじゃない」と叱られます。
自分の弱さを他人のせいにすんな。


次に気に入らないのは彼の姉、慶子です。
彼女は自分の意志のぶれが大きく、調査に乗り気だったり腰が重かったり、知りたいって最初に話をもちかけてきたのは慶子なのにと煮え切らなさにじりじり。
自分のライターとしてのネタにするっていうのならちゃんと「仕事」してほしい。30歳にもなって「健太郎、一人で行って……私、むり」じゃないよー;
結婚についても打算なら打算でいいから流されずに自分の意志を貫いてほしいなぁ。


まあ彼らが本当の祖父・宮部のかっちょいい姿を知って一皮むける、というストーリーです。
最後はなんでか偶然流れ星が夜空をよぎっちゃいます。


一番のもやもやするのは、やくざもののくだり。
宮部を語る人物の中にヤーさん関係の方が一人いまして、これがまた斜に構えているのに人情に篤いというテンプレのおじさん・景浦です。
宮部に恩義を感じつつも「あいつの死に顔を見るのはこの俺だ!」と言っちゃう熱いおじさん。

俺は人殺ししてるぜ!と健太郎に自白するんですがこれはのちの伏線で、
実は宮部の死後、彼の妻・松乃は美人さんだったのでやくざの囲い者になっていました。
美人さんの絶体絶命ってときに颯爽と現れる一人の男……男は周囲のならず者たちをぶったおし、「生きろ」と告げて去っていきます。

まあおじさんです。
美人さんは宮部の幽霊だかなんだか思ったそうですが、間違いなく景浦おじさんです。
これが隠れていない伏線です。
脆弱な現代の若者健太郎にもピンときちゃうバレバレ感です。

が、疑問が残ってしまうのです。
・宮部に奥さんがいるのは知っていた。でもその顔も名も知らない。でも助けにきてくれた。
・宮部の死後、奥さんがどうなっているのか知らなかったはず。でも助けにきてくれた。


……宮部さんが格好よすぎたせいかな……。


「宮部の家族になんか興味はない」
とか言っちゃうくせして帰りかけた健太郎にハグする景浦おじさんにもやもやするのは私だけでしょうか。


零戦の知識や空から見た太平洋戦争をさらっと知る分にはいい本だと思います!
よかったらどうぞー貸しますよー。







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